JADED HEART 来日インタビュー!

2013年2月9日、10日、11日の三日間に渡り、大阪、名古屋、東京で行われたメロディック・メタル・フェス、”Melodic Metal Festival Vol.2″ & “Melodic Metal Circle Vol.14″で、2010年以来、2度目の来日公演を行ったドイツのメロディック・メタル・バンド、JADED HEARTのリーダーでベーシストのマイケル・ミューラーと、メイン・ソングライターでもあるギタリストのピーター・オストロスのインタビューをお届けします。 インタビューは2月10日の名古屋公演でのサウンド・チェックの後に収録
Peter Ostros & Micheal Muller*2010年の初来日から約2年半ぶりの来日となります。日本に戻ってこられた今のお気持ちは? マイケル・ミューラー:本当に嬉しいの一言だよ。日本でショウを行えるチャンスなんてそうあるものじゃないからね。戻ってこられて本当にラッキーだよ。
ピーター・オストロス:実は前回の来日が終わって、もう日本に行けることは無いかもしれないと思っていたから本当に嬉しく思ってる。

*日本公演初日を終えて、日本のオーディエンスの反応はいかがでしたか?あと、ショウでの選曲に関しても教えて頂けますか? マイケル:初日の大阪はとても良かったよ。でも実はナーヴァスになっていたんだ。ジェット・ラグも多少あったし、何より久しぶりの日本での大切なライヴだったからね。
選曲に関しては最新アルバムの『Common Destiny』からの曲を中心に、その前の2枚のアルバムからもバランス良く選曲したつもりだよ。

*バンドの歴史について少しお聞かせ頂けますか。まず、バンドはマイケル・ボーマン(Vo), ダーク・ボーマン(G)による前身バンドT.A.Xにあなたとアクセル・クルーセ(Dr)が合流、JADED HEARTとしてキャリアをスタートしたとされています。実際のところはどのような経緯でバンドはスタートしたのでしょうか? マイケル:歴史に関しては覚えてないかもしれないな(笑)!えっと、前進のバンド(T.A.X)はもちろん今と全く違うメンバーで始めていて、自分が加入したのは’94年、アクセルもその年に加入した。そしてバンド名をJADED HEARTに変えたんだ。その後色々とメンバー・チェンジもあったけど、バンドは今のメンバーが本当にベストだと思えるね。ヨハン(ファールベルグ)とピーター(オストロス)が加入してプレイ・スタイルもいい意味で変わったしね。

Johan Fahlberg (lead Vocal)

Johan Fahlberg (lead Vocal)


*1994年にデビューアルバム『Inside Out』を発表、日本デビューも実現し熱心なファンから注目を浴びました。本国ドイツでのメディア・ファンからの反応はいかがでしたか? マイケル:『Inside Out』はアルバムとしては成功したとは言い難いね。当時はメロディック・ロック自体が下火になっていたこともあるし、どちらかというともっとハードなスタイルの方に人気が集まっていたと思う。アルバムをリリースしたレーベルも小さかったから、プロダクションも悪かった。

*デビューアルバム発表後、ダーク・ボーマンが脱退し、1996年に2nd『Slaves and Masters』,、1997年に3rd『Mystery Eyes』 を発表しますが、両作はアレックス・バイロット(Sinner)、等をサポートギタリストに迎えて製作されていました。何故パーマネントなギタリストを加入させなかったのでしょうか? マイケル:それは単純にパーマネント・メンバーになれる良いギタリストが見つからなかったからなんだ。そして僕たちは、ただ巧いギタリストとしてでなく友人としても付き合える人物を求めていたからね。

*新しいメンバーであるピーターとヨハンはまさにそれに当てはまるパーマネントなメンバーという訳ですね? マイケル:その通りだよ。今のメンバーは本当にフィットしているね。エゴの問題は無いし、リスペクトし合えてる。理想的だよ。
ピーター:そう、本当にバンド内は仲がいいんだ。バンドに加入して、ベスト・フレンドを見つけた気分だよ。

*ピーター、あなたとヨハンはスウェーデン人ですが、ドイツのバンドに入ることに対して不安などはありませんでしたか? ピーター:不安なんて何も無かったね。僕たちスウェーデン人の方が少しばかりドイツ人よりパーティー好きなくらいだし(笑)!
マイケル:(笑)ドイツ人の方が物静かで、行儀がいいのは間違いない。彼らと比べてね(笑)!

Peter Ostros (Guitar Backing Vocal)

Peter Ostros (Guitar Backing Vocal)


*バンドの曲作りについて話して頂けますか? ピーター:僕はバンドで使えそうな曲ができたら、インターネットでメンバーに意見を求めるんだ。それを繰り返してたくさんの曲が出来上がってきたら、ドイツのメンバーが週末にスウェーデンに来てバンドでディスカッションして詰めていくんだ、そのときにヨハンのヴォーカルも決めていく。そして12曲ぐらいの曲に絞っていってアルバム用の曲を決めていくんだよ。

*そんなやり方で完成したニュー・アルバム『Common Destiny』について今、どんな感想をお持ちですか? マイケル:嫌いだね(笑)!ハハハ、冗談だよ!(笑い)
ピーター:僕とヨハンが加入して3枚目のアルバムになるけど、本当に最高のアルバムだと思っているよ。
マイケル:このアルバムはヘヴィネスとメロディーがとても良いバランスでミックスされていると思う。

*そんなメロディーとヘヴィネスがバランス良くミックスされた象徴的な曲が「With You」だと思います。この曲は日本で有名な「Power Rock Today」というラジオ番組でもオン・エアされましたよ。 マイケル:それは知ってるよ。マネージャーのマサが録音したものを聴かせてくれたから。本当に光栄なことだよ。ありがとう!
ピーター:それは1曲だけオン・エアされたの?
そのときは「With You」だけのオン・エアでした。でも、その後「My Destiny」もオン・エアされました。 ピーター:それは素晴らしいね!

Michael Muller(Bass, Backing Vocals)

Michael Muller(Bass, Backing Vocals)


*前任シンガーのマイケル・ボーマンについて少しお尋ねします。日本ではJADED HEARTは彼のバンドとのイメージで思っているファンも多く、彼がバンドを辞めたことを残念に思っているファンもいたと思います。彼についてお話し頂けますか? マイケル:彼(マイケル・ボーマン)が辞めたことは仕方がないことだよ。全てのファンを満足させることはとても難しいことだし。バンドっていうのはある種、結婚のようなところがあるけど、結婚した後も音楽性やら、性格とかバラバラな部分が出てくることはよくあるよね?彼はJADED HEARTを自分のバンドのようにプレスなどにも話していたし、JADED HEART=マイケル・ボーマンというイメージで思ったファンも少なくなかったかもしれない。でも本当はまったく違っていて、彼のバンドなどではなかったからね。
彼と音楽性の違いはあったのですか? マイケル:それもあった。バンドが求める音楽性を彼がリスペクトできなかったというのはあったね。残念だけど、お互いがゴールを共有できなかったということかな。あと彼には個人的な問題もあったからね。彼がバンドを去った後も僕らは僕らのスタイルであるメロディックでパワフルなJADED HEARTのスタイルで良い曲、良いアルバムを世に出していくだけだよ。

*前回の来日に関してお尋ねします。前回は2010年に『Perfect Insanity』のプロモーションの一環での来日でしたが、前回の初のジャパン・ツアーはいかがでしたか? ピーター:初めての日本は本当に凄かったね。何しろ地球の裏側に来たようなものだっから(笑) !日本に来れたことに本当に感動したし、インスパイアされることも多かったね。ライヴで緊張なんかしたことが無かったけど、“今、俺は東京に来てるんだ”と思うと緊張してきたことを思い出すよ。日本についての曲を書いてもいいくらいだね。
マイケル:それはいいね。
AT VANCEには「Tokyo」という曲がありますね? ピーター:知ってる、知ってる。じゃ、俺たちは「Nagoya」で!(一同爆笑)
そういえば、大阪では初めてのタトゥーを入れたんだ!(と、左腕の★印の真新しいタトゥーを見せる)
マイケル:ヨハンも大阪で拳に”1969”とタトゥーを入れていたね。彼の生まれた年だ。
ピーター:俺は早速、Facebookにタトゥーの写真を載せたけど「イイネ」がすぐにもらえたよ。
マイケル:でも2つだけだったよね?(爆笑)

Axel Kruse(Drums)

Axel Kruse(Drums)


*では、アルバム『Common Destiny』の話しに戻りましょう。アルバムのプロデュースは7th『Helluva Time』以降、マイケル・ヴォスとクリス・ラウスマンが担当していてとても良い成果を上げていると思います。彼らについて少し話して頂けますか? マイケル:通常、レコーディングはいつもマイケル・フォス(と発音)のスタジオに行って行うんだけど作業をしていると彼はいつも素晴らしいアイデアを出してくれるんだよ。それから彼は人柄もとても良いからね。彼とクリス(ラウスマン)は、他のプロジェクトでもチームを組んでいるからとてもやりやすいんだよ。
それでは今後も彼らとのチームでアルバムを作っていきたい意向ですか? マイケル:そうなればいいと思っているよ。

 
Henrik Larsson(Keyboads, Backing Vocal) *Support Member

Henrik Larsson(Keyboads, Backing Vocal) *Support Member


*お二人のキャリアの中で最も気に入っているアルバムと印象に残っているライブは何でしょうか? マイケル:アルバムは言うまでもなく『Common Distiny』だね。ライヴもやはり、前回の日本でのライヴだね。後は2007年のFirefestも思い出深いね!
ピーター:アルバムはもちろん『Common Distiny』。あとは『Inside Out』!(爆笑)
マイケル:今年、ライヴDVDをリリースするつもりなんだ。メインのライヴはドイツのケルンで行われたアクセル・ルディ・ペルとMAD MAXとのショウを収めたものだけど、ボーナス映像として今回の日本公演の映像も入れるつもりだよ。オーディオCDをつけるのも良いアイデアかもしれないね。

*それは素晴らしい企画ですね。楽しみにしています。質問を続けます。2007年の8th『Sinister Mind』発表後、本国ドイツ以外にもヨーロッパ全土をツアーする機会が増えたように思います。よりヘヴィでメタリックにシフトした音楽性への変化に合わせ、ライブバンドとしての活動も活発になったのでしょうか。 マイケル:その通りだと思うよ。確かに『Sinister Mind』を発表した後、HELLOWEENからヨーロッパ・ツアーのサポートの依頼があったしね。それだけじゃなくRAGEからもね!RAGEとのツアーはとても良かったんだよ。
次のアルバムはよりヘヴィになる可能性はありますか? ピーター:それは無いんじゃないかな。『Common Destiny』でのバランスのように今のバンドにおけるヘヴィネスとメロディーのバランスはとてもうまくいっているからね。『Perfect Insanity』よりヘヴィになることは無さそうだよ(笑)。既に2,3曲の新曲ができているけど、『Common Destiny』路線の曲だよ。
マイケル:次のアルバムはギター・ソロは無しだよ!(爆笑)
ピーター:いやいや、少しは入れさせてね!(爆笑) Jaded Heart3

*今後のご予定をお聞かせください。 ピーター:日本のショウのあとは、5月にドイツとスウェーデンでのライヴが予定されているし、6月はクロアチアでKING DIAMONDと一緒のフェスティヴァルに出演するよ。

*最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。 ピーター:こんにちは日本のみなさん、日本に戻ってこられて嬉しいよ!
マイケル:JADED HEARTのマイケルだよ。僕らは日本を愛してる。本当に最高だ。また、すぐに戻ってきたいね。

 
*今回の来日公演は正式メンバーであるキーボードのへニング・ヴァーナーが別の仕事(CIRCLE II CIRCLEのUSツアー)で、参加できなかったため、サポート・キーボード・プレイヤーとしてヘンリック・ラーソンが参加した。

 
*Live Photo by Takeshi “Jenmen” Yasumori