LEATHERWOLF / Kill The Hunted ディーン・ロバーツ(dr)による楽曲コメント!

LEATHERWOLF / Kill The Hunted のオリジナル楽曲11曲をオリジナル・メンバーでもあるディーン・ロバーツ(dr)がコメントしてくれました。歌詞に関しては作詞者でもあるシンガーのキース・アダミアクがコメントしています。歌詞対訳と合わせてお読み頂ければさらにアルバムが楽しめること請け合いです!
1.Hit The Dirt この曲で面白いのが、我々は実はこの曲はさほど気に入っていなかったんだ。ロブとオレがサビのコーラスを考えて後半の頭に持ってくるまではね。それがこの曲の一番お気に入りの部分に決まったんだ。

キースの歌詞コメント:
この曲は、実はラスベガスで起きた銃乱射事件(注)にインスパイアされたものなんだ。ちょうどその場に友人や家族が居合わせたので、とりわけこの悲劇はかなりのショックでね。その後の現場の混乱と恐ろしい映像の中で、自分を引き付ける事が有ったんだ。周りの人が撃たれているのに群衆の真ん中に真っ直ぐ立っている男をビデオで見たのを覚えているんだよ。それから誰かが彼にタックルし、彼を地面に倒したんだ(多分彼の命を救う為にね). 「なんて凄いんだ!」と思ったのを覚えている。この男は死に直面して恐怖に泣き叫ぶただの犠牲者では無いと思ったんだ。彼は、銃撃者に向いて指を空中に突き上げ死ぬのを厭わなかった。それが、“they’ll play the victim let em’ whine, eventually we’ll all run out of time” というラインになったんだ。曲の終わりの方の歌詞は、金儲けの為にメディアが銃乱射事件の犯人を偶像化するやり方について歌っている。そんな事をしても銃乱射事件が増えるだけだ。犯人は注意を引く為なら何でもやるんだよ。
注:2017年10月1日にアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスで容疑者が無差別に銃を乱射し、60人を殺害した大量殺人事件。銃撃現場の広場ではライブ・ネイションが主催するカントリー・ミュージックの音楽祭「Route 91 Harvest Festival」が開かれており、約2万2千人以上の観客とスタッフ、警備中の警察官などがいた。

2.Nobody 「Nobody」は私が作ったんだ。 ギターが入る前のアレンジとパーツを書いた。ロブが来て俺が思うようにリードセクションのパーツを付けてくれたんだ。スーパーキラーだね。

キースによる歌詞コメント:
この曲は質問を投げかけているんだ:「お前は誰だ?」「お前は自身や他人に対し破壊者なのか建設的なのか?」「お前は毎日仮面に隠れているのか?」「お前はいったいどっちになりたいんだ:何者か、何者でもないのか?」「毎日、お前は選択できるんだ、世界が燃える様を眺めているか、何かするのか?」これらの問いで、自分自身の内面と世間に自分をどう見てもらいたいと思っているのかを知るんだ。あなた自身のこれら2つのバージョンは一致していますか?.

3.Kill The Hunted こいつは、アルバムの中で最もアンセム的な曲の 1 つだ。 2008年頃にギターで書いたんだが、それ以来何もしていなかった。最終的にロブとキースが曲を完成させるのを手伝ってくれたんだ。
「Kill the Hunted」の歌詞を書いた時、オレは自分の世界や人生に闇を感じている事に気づき始めていた。 そこで自分の世界にもっと輝きを取り戻す為に、もっとポジティブなものを中心に幾つかの変更を加える必要が有ったんだ. 結局のところ、その曲で書いた最後の詩は、恐らくこれまでに書いた中で最高のモノだよ。 それは自身の救世主であり、オレはそれが自分の人生の前編のようなものであることに正直に気付いたんだ. それが自分に正直になる方法だとね。
4.Only The Wicked 「Only the Wicked」の歌詞を書いた時、オレは一人でガレージに居てただ物事を考えていた。善と悪の間でリアリティチェックをしながら、自分はどちらなのか疑問に思っていた。 そこに、まだタイトルのないこの曲を持って行って、それまでアレンジが気に入らなかったのでアレンジの作業をした。 約1時間半格闘した後に、ロブが入ってきて聴き始め、彼は別のヴァースのメロディを聞き始めて、で、彼はそれから歌詞のメロディーをハミングし始め、それで私は自分が書いた言葉を思い出してね。 私の歌詞がヴァースとブリッジにぴったりだったんだ。後はサビのコーラスを考えるだけだったよ。 オレにとってこの曲は、自分自身に率直になって、正しいことをする事を思い出させてくれるんだ。
5.Madhouse 「マッドハウス」でオレが一番気に入っている部分は、ロブのリードギターだよ。

キースによる歌詞コメント:
誰もが抑圧される事に苦しんでいる。誰もが内なる葛藤に苦しんでいる。この歌は、それらの感情と、それに伴う否定的/破壊的な行動を説明している。これらは誰もが経験する普通の感情だが、内部闘争を自分の有利に利用できると誰もが知っている訳では無い。例えば、この曲で最も力強いセリフの1つは “only when you’re lost you will change”「迷ったときだけ、変わる事が出来る」という部分だ。 言い換えれば、他に選択肢が無くなるまで、変更の必要性を感じ無いという事。 迷子になることが実際に自分自身を見つける唯一の方法である事も有るので、迷子になっても問題無いんだ。

6.Medusa 「Medusa」はギターリフがカッコよいと思うし、ルークのリード・ギターは驚異的だよ!

キースによる歌詞コメント:
この歌詞は、自分が抱えていた有害な関係のメタファーとして書いたんだ。 醜い化け物にされた美しく可憐な女性。この曲は文字通りメデューサの物語だが、実際には裏切りの物語で、裏切りによって引き起こされた感情的な重荷とトラウマを克服するものなんだ。

7.The Henchman キースによる歌詞コメント:
この曲は、内なる自己との必然的な闘いについて歌っているんだ。 オレたち全員が感じているプレッシャーが有るよね…。オレたちがコントロール出来無いように感じるもの。”The Henchman”は自身の運命を征服する事、自分たちが“become the man we’re running from”「逃げている男にならないように」優雅さと尊厳を持つんだ。一部の人々は、エゴを乗り越える方法を理解するのに十分な自己啓発が出来ずに一生を過ごす。その主な理由は、彼らが自身の内部を見なければならないという事を知らなかったからだ。この歌が、過去のトラウマに縛られる事無く、なりたい自分になれる力を持っている事を個人が理解するのに役立つ事を願っているよ。
8.(Evil) Empires Fall 「(Evil) Empires Fall」は、1984 年のデビュー アルバムの「Kill And Kill Again」を思い出させるよ。オレが気に入っているのは、クールなサビのコーラス、ロブの素晴らしいリード、そしてキースの圧倒的な歌唱ぶりだね。
キースによる歌詞 コメント:
この歌は貪欲と世界の病について語っている。“Buried pockets, rattling thunder”の部分はオレが気に入っているラインだ。 “Selling salvation, flesh by the pound’ は、ディーンが気に入っているラインだね。 世界の中でも一部の人々は非常に欺瞞に満ちており、お金などのまがい物に支配され、利益のために人々を搾取し、世界を荒廃させている。この曲は、私たち全員が繁栄しトップに立つことが出来る世界を提唱しているんだ。
9.Road Rage ルークのリードが良いよね。オレのドラミングに関しては、普段のプレイとは少し違う雰囲気だよ。少しパンク寄りなんだ。しかしオレはそのアプローチで上手く行くと思ったんで、それでやってみたんだ。

キースによる歌詞コメント:
この曲はオレにとって非常に個人的なものだ。なぜなら、オレは過去に自分の感情、特に怒りをコントロールする能力に苦しんで居たからなんだ。この曲では、人が時にコントロールを失いやすい事を説明している。 些細な事でエゴを傷つけ、自分の現実に疑問を抱かせる事も有る。それに対処する代わりに、問題を過度に攻撃する傾向も有る。問題から逃げる事について語る他の数曲とは異なり、この曲は問題を解決しようと懸命に努力する事について歌っている。怒りの問題は、アイデンティティとコントロールの問題だからね。オレたちが自分自身のコントロールを失っていると感じる時、通常、最初に来る本能は破壊で、でもそれが常に自己破壊であるとは限らない。時にはそれがあなたの周りのモノや人々がターゲットになるんだ。

10.Lights Out Agan こいつは元々2000年頃に書いた曲で、アルバム「World Asylum」に収録される曲を書いていた頃だよ。没になっていたんだ。 その後、ロブがより良いヴァースを思いつき、キースが歌詞を書き直したんだ。この曲の気に入っている部分は、オレのドラム・リフとロブのリードだ。彼のトリプル・リード・ギターでのハモリは、スーパーキラーだと思うよ!

キースによる歌詞コメント:
この曲は依存症と、人々が依存症に陥りやすい理由について書いているんだ。「Lights Out Again」という言葉は再発を意味しているんだ…物事が困難になり過ぎると、ただ明かりを消したいだけのように感じるのは簡単なんだ。サイクルを断ち切る方法を見つけなければならない。 答えは単に使うのを止める事では無く、なぜ使っているのかを理解する事なんだ。オレたちは自分自身から逃げるのを止め、恐怖やトラウマと向き合う必要が有るんだ。 自分たちの感情から逃げようとする必要は無いんだ。

11.Enslaved リフだけでなくリード・ギターも好きだよ。ロブとオレで、ハーモニーにかなりの時間を費やしたんだ。ロブはリード・セクションにもかなりの時間を使ったよ。アルバムでベースを弾くバリー・スパークスは、ロブがリードを弾くために実にアイアン・メイデン風のエンディングを書いてくれた。オレたちはそこからもう1曲作れそうだったんだけどね。凄くクールなんだ。でもそれは止めておいた。エンディングのヴァイヴにピッタリな雰囲気だったからね。

キースによる歌詞コメント:
叙情的でアルバムで一番好きな曲だ。アルバムのテーマである“master of our own destiny” 「運命の主」それは自我の死を迎え、自分自身の感情と運命の支配者になる事。それを体現するにふさわしい曲だ。“There lies the soul that I must bind, for it has opened” はオレが気に入っているラインだ。時にはオレたちが直面する全ての闘争と悪魔の中で、我々の魂は、それが神、自我、またはその他の問題であろうと影響を与える事が有る。.オレたちは自身の魂を持っているのか、または誰かが持っているのか、を慎重に選択する必要が有る。この曲のトリビアとしては、バリーが気まぐれで曲の最後にベースパートを弾いたんだけど雰囲気が合っていたのでそのまま曲のアンビエントエンディングになったんだ。

*日本盤ボーナストラック 「Thunder (MMXXII)」へのコメントはアルバム・ライナーノーツのディーンへのインタビュー内に載っています。