バート・ヒーリンクによる、ROYAL FLUSHアルバム全曲解説 !

2019年12月11日にリリースされました元VANDENBERGのオリジナル・シンガー、バート・ヒーリンクのニュー・バンド、ROYAL FLUSHのデビュー・アルバム『Royal Flush』には日本盤ボーナストラック2曲を含む珠玉の12曲が収められていますが、今回、バート本人が日本のファンのためにアルバムの全曲を解説してくれました。ライナーの解説よりさらに詳しく各曲について語ってくれていますので、是非、読んで頂ければ幸いです。

ROYAL FLUSH / Royal Flush
バート・ヒーリンクによる解説:

1.Shoot the Moon
この曲は人生に於いてこれまでに在ったであろう自分への不信や不安についての曲だ。もしかしたらこれは君の事かもしれないし、何かの物語なのかもしれない。そう、ある時この感覚と共に、自分が自分で在りたい欲求故真実を語りこの世を去る。それを表現したのがこの曲だ。自分の理想と、自分が自分で在る為に立ち向かえ!
もちろん、自伝的な側面がこの曲には在るかもしれない。多くは語らないけどね…

2.It’s Strange
この曲は、休日に山の山荘で得ることができるような感覚があると思うんだけど、そんな感覚は突然、誰にでも起こりえる感覚だと思う。この世界からあらゆるモノから超越し邪魔者のいない、傷つけあう事もない、まるでこの世の頂点から世界を見下ろすが如き感覚…。そうだな、パラグライディングをしている時のあらゆるモノからとき放たれた高揚感のような…

3.Throw the dice
物理的な理由で一緒に暮らしているが、二人は全ての点で異なっている。そんな二人の終わりのない物語さ。それは時限爆弾のようなもの。時間の問題と言う感じだろう。この曲の歌詞は私の妻が書いていて、彼女は歌詞に出てくる言葉を効果的に使い、下品にならず、情熱的な表現でまとめたんだ。状況はひどく不快で、耐えられないものだけど、使われてる言葉は美しいんだ。

4.Dance with the sun
災難の後、再び人生が素晴らしいものになると気付いた瞬間について。歌詞の中の男は妻(または彼女)を失い、感情から逃げようとしている。でもラジオから流れる在りし日の愛の曲が彼の心を離さない。ふと、温かい日の光が彼の顔に優しく降り注ぐ、彼は長い間得ることのなかったあの日、あの時の感覚。彼女はもうそこにいないけど、彼は光さす中共に踊っているような感覚と共に、やがて心を満たす。これは私のお気に入りの曲の1つだよ。

5.Oblivion Ocean
海で過ごす無限の休息・・・波、静寂、地平線、そして孤独であることさえ、完全に消し去ってくれる海。頭の中を完全にリセットすることができるんだ。私はずっと海が大好きでね。BBCによるTVシリーズ “Onedin Line”をいつも観ていたよ。(アラム・ハチャトリアンによる素晴らしいテーマ!)自分自身も海兵隊員になりたかったが、それは実現しなかったね。今ではそれを歌うことができる男になれたよ。

6.The painter
ひどいうつ病を患った友人の人生に基づいている。その後、彼は亡くなってしまった。この曲は実際にはほぼ2011年に書かれていたが、彼の死後まもなく、メロディーに合うように歌詞を調整したんだ。ブルーを感じることはとても簡単なことだけど、病気を患っている一部の人にとってまさに真実なんだ。うつ病という恐ろしい病気はとにかく精神的に苦しめられる。人生、即ち時の流れに抗う事は如何に不平等で終わりのみえないレース…
時間との不公平な競争、人生と自分自身・・・

7.Keep me out
公害や環境汚染を社会が規制や、行動の変化によって、それらを何らかの形で止めようとする場合、まず人々が思うのは税金をそれらに使って欲しいと言うだけさ。人任せという訳さ。このような大きな問題に対して現時点でどれだけの人が危機感を感じているか・・・本当に心配しているよ。

8.If battle’s breaking out
僕はこの世の善悪の終わらない戦いを語る多くの比喩が好きだ。毎日、人々は正しい選択をしていかなければならない。でもいつも正しい選択ができるという保証は無い。良いことがあるとすれば、それは君自身に選択肢があるということ。人間には良心が在り、これが善悪の在るべきを判断して“徳”を積む。僕は我々は如何なる時、場所でも正しい判断の下に、姿勢や態度、行動をし、“自分がどちら側在るべきか”を知っていると信じている。

9.Don’t go
美しくそして同時に悲劇的。全ては過ぎ去り、遅すぎた。そんな一曲だ。
ある男が全てを失い、人生を変える最後のチャンスだと、より良き人に更生するからと誓い続ける。長く、長くこんな事を語り、恐らく一度ではないだろう、彼女を引き止めた処で、彼女は振り返るものか…。 然し、彼には確信だけがあるのだった。

10.I am crazy
人生というものはストリートで生きているようなもの。人生は戦い続けていくしかないんだ。自分自身で生きていく術を見つけていくしかない。この曲の歌詞ではそれにアジャストできていない状況を歌っている。自分でとにかく見つけなければいけない。ただ生き残るために。私は自分の人生に於いて、このように感じた期間があったことを認めるよ。


11.Cold Motel
眠れない夜。彼は未だ彼女を忘れられない。捨てられない写真。彼女はそこらにいるヤツらとは違う、特別な女。在りし日を想い、肌の芯残る終わりなき火照り。振り返っても全ては言い訳に過ぎない。俺にはもう味わう事のできない、戻れない愛の日々の様な主題さ。

12.Tears
深くそして頭を深く下げざるをえない様な自由を勝ち取るためにその命を散らした国境、時代、情勢を越えた英雄たち。悲しみの涙は太陽の中で輝き、それはやがて虹となり、我々の心に永遠の光を灯す。希望という名の。


対訳:Rubicon Music & Josh Nakano