OVERDRIVE 初来日インタビュー!

セカンド・アルバム『Swords And Axes』の30周年を記念するライヴを8月15日(東京)と17日(大阪)に行い、さらに東京渋谷HMV RECORD SHOPでのアコースティック・ライヴまで敢行したスウェーデン、伝説のピュア・メタル・バンドOVERDRIVEの東京公演当日に収録したインタビューをお届けします。
オリジナル・メンバーのJanne Stark(ヤンネ・スターク/g) と Kjell Jacobsson(シェル・ヤコブソン/g)に話を聞きました。

 
●遂に初の日本でのショウが実現しましたね!今、どのような気持ちですか?ワクワクします?
Janne(以下J)…すっごく昂るね!
Kjell(以下K)…やあ、本当に興奮しているよ。
J&K…本当にね!
K…今回、初めて日本に来たわけだけど、とても美しくて素敵な国だね。
J…私は4回目の訪日なんだけどね(笑)。でも、それらは個人的にであって、バンドとしては今回が初めて。何時来ても日本は素敵な国です。自分のバンドで、日本でライブができるなんて…素晴らしいことです。

●今回の初来日ライヴが決まった経緯について話して頂けますか?
J…『Angelmaker』のプロモーションをするために訪日した際、大阪でROCK STAKK RECORDSの松尾さんに会ったんです。彼はずっとOVERDRIVEのファンでいてくれて、「日本でOVERDRIVEのツアーができないか?」ということを一緒に話し合ったんですね。
有り難いことに、その後ルビコン・ミュージックからリリースした『Angelmaker』の日本盤も好調で、実現したいと願っていました。
今年4月、私は『The Heaviest Encyclopedia Of Swedish Hard Rock & Heavy Metal

Janne Stark(g)


Ever!』という著書のプロモーションで日本に来たのですが、その時に松尾さんから「日本でライブをやらないか?」という提言があって。ただただ一言、「Yay!」でしたよね(笑)。
●「イェーイ!」(笑)。
J…もちろんです、ということで、ルビコン・ミュージックの担当者さんとお話をすることになりまして。HMV record shop 渋谷のアコースティック・ライブも決まりましてね。これが今回の経緯の全てですが、80年代初頭にファースト・アルバムをリリースした私たちとしては…
K…夢が叶った!ファースト・アルバムのアートワークを改めて眺めてみて、「ああ、夢が叶ったな」って思ったのさ。
J…1983年にファースト・アルバムをリリースした時に、日本の「BURRN!」にレビューが載りましてね。
K…日本語は読めないし奇妙な感じ…でも、凄いな、と。

Kjell Jacobsson(g)


●今回はセカンド・アルバム『Sword & Axes』の30周年記念のショウになります。このタイミングでのショウは計画されていましたか?
J…いやあ、計画はしていなかったんですよ。今回のショウについては偶然の一致ですね。先ほどお答えしたように、今年の4月に訪日した際、松尾さんの一声から始まったわけですが、折角なら周年イベントのようにしようかと思い立ちまして。スウェーデンのイベントでは、セカンド・アルバムから1曲しか演奏しなかったんですね。今回のような特別なショウを日本で実現できるとは…
K…本当に嬉しいよね。スウェーデンのイベントは、一晩中やるわけなんだけど。
J…ヴァイキングの連中は、『Sword & Axes』で熱狂して、ステージの上で闘い始めてしまうんですね(笑)。オーディエンスはみんな「殺せ!殺せ!」とか叫んでいるし(笑)。
K…剣を振りかざして、「帰れ!降りろ!」って追い返したよ。
J…ヴァイキングの一人がですね、マイク・スタンドを剣で攻撃してきて、困りましたよ(笑)。

●現在のメンバーについて聞かせて下さい。これは2ndアルバムのラインナップにPerがヴォーカルで参加し、Pelleがベースを兼ねています。これはどの時代の曲もプレイできる素晴らしいラインナップですが、このメンバー構成はどのように決まりましたか?
J…Pelleは80年代のオリジナル・ヴォーカルだったんです。OVERDRIVEを再結成しようと

Pelle Thuresson(b&vo)


した時、Pelleは既に、彼個人としてはベースに転向していて、OVERDRIVEではヴォーカルをやるかどうか?ということになったのです。この話し合いの当時はオリジナル・メンバーであるベースも在籍していましたが、「Pelleがベースを弾き、Perが歌う編成にしよう」という決意をしました。Pelleもオリジナル・メンバーですし、彼の意見も聞きたくて、Pelleに「どう?」と、尋ねてみたのですが…彼は「いいよ!」と即答してくれました(笑)。
●「いいよ!」(笑)。なんとも素晴らしい即答ですね(笑)。
J…ええ(笑)。彼の再加入があって、私たちOVERDRIVEは、今も4人のオリジナル・メンバーが在籍しています。『Sword & Axes』を賛辞するにふさわしいラインナップでしょう?今日のショウは、アンコールに「OVERDRIVE」という曲を用意しているのですが、Pelleに「この曲を演奏しない理由がある?」と尋ねたところ、「ああー…、そうだね、うん、やるか…やろうよ」と(笑)。今日のショウでは昔の曲を沢山やるわけですが、5曲はPelleが歌い、Perがベースを弾きます。途中でベースとヴォーカルが交替するんですよ。
●今回はドラマーのKentaが来られなくなってしまったそうですが、何が起こったのでしょう

か?この困難をどのように乗り越えたのですか?
K…ああ…。出発直前に、スウェーデンで不幸な事故があって…。
J…トイ・ガンが暴発して、彼は彼自身の手を撃ってしまったんです。その日の夜もショウの予定があり…。
K…病院から電話がかかって来て…。
J…その日の夜のショウは、急遽アコースティック形式に変更しました。それが先週土曜日の夜だったかな…?

Per Karlsson(vo&b)


K…そうだね、土曜日の夜だった。
J…これはもう、日本のショウで彼は演奏できないんじゃないかと思いました。日本でのショウは、彼にとっての長年の夢だったので…本当に不運としか言いようがないというか。とても憂鬱になりましたよ。誰がたった3日で、今回のセットリストの全てを習得し演奏できるのか…?と。私はLocomotive Breathというバンドもやっていて、其処のドラマーであり、Kjellの息子でもあるJimmy Lexeに話を持ちかけたのですね。彼は曲を覚えるのがとても速いと知っていたから。まさに今日、ショウの当日の朝に一緒にリハーサルをしたわけですが…
●今日!?今日が初めての曲合わせだったのですか!?ライブ会場でのリハーサルを私も見ていましたが、とてもそんなようには見えなかったのですが…
K…うん(笑)。今日だよ(笑)。
J…そう、本当にこれは凄いことで…。私たちは絶対に日本でのショウを逃したくなかったし、絶対に日本に来なければならなかった。何があってもね!
K…ああ、全くだ。キャンセルなんてあり得なかった。
J…私たちは30年もの間、日本でのショウを待ち望んでいたわけですから。
K…今宵のショウはKentaに捧げたいね。
J…Kantaの写真をフレームに入れて持って来ましたよ。彼は私たちと共にあるのです。

●今回のライヴの選曲について話して頂けますか?
K…80年代からある昔の曲と、新しい曲のミックスだね。インスト曲もやるし。今晩は集大成、って感じだよ。
J…ショウはファースト・アルバムの1曲目、「Back On The Hunt」から始めるんです。もちろ

Jimmy Lexe(dr)


ん『Angelmaker』からも演奏します。『Angelmaker』に収録されている、Frida(元ABBAのシンガー)のカヴァー・ソング「I Know There’s Something Going On」も含めてね!アンコールは…アンコールがあれば…(笑)、80年代の姿のOVERDRIVEを堪能してもらえる曲を用意しています。1981年にリリースした初EP、『Reflexions』から「Lady Luck」とかね。『Reflexions』は500枚しか作らなかったから、今はコレクターの間で高値がついているみたいですね。
K…1枚、250USD(2万5千円)くらいだったっけ?
●それは…一枚ください(笑)。
J&K…売るつもりだね(笑)。

●2011年に再結成アルバム『Angelmaker』をリリースした後、バンドはどのような活動をしてきましたか?
J…一曲だけ、レコーディングをしました。これはとても特別なもので、今私たちがここに居る理由の一つとも言えるかもしれません。私と妻は東京で結婚式を挙げるために、フライトの予約をしたのですが…まさにその日、東日本大震災を目の当たりにしたのです。TVに映る、その光景は…悪夢でしたよ。悲嘆に暮れました。私たちはとても日本を愛しているから…。被災者の方々へ、日本赤十字社を通じて寄付をするというコンセプトでLion Musicからリリースされた、『Embrace The Sun』に収録されている「New Beginning (Arata Na Staato)」こそが、その新たにレコーディングした一曲です。ショウを演るのも大好きですし、新曲のレコーディングもしていますが…
K…ここのところはおとなしくしていたよね。

●今後のOVERDRIVEの活動について聞かせて下さい。そしてニュー・アルバムの予定はありますか?
K…ああ、もちろん!リリースの予定はしているし、レコーディングも続けているよ!この秋から冬の間に、何かお知らせができるかもしれないな。
J…もしかすると、来年になるかもしれませんね。つい先日のドラマーのKentaの事情も省みると、計画しなおさなくてはならないことも出てきましたから。私たちはショウが本当に好きですから、もっとたくさんショウを重ねたいとも思っています。まずは…Kantaが早く良くなってくれることを祈るばかりですね。
●私もKantaの回復を祈っています。今度はKentaとも一緒に、日本に帰ってきてくださいね。
J…もしダメだったら、またJimmyを借りてきますよ(笑)。
K…うーん、貸してもいいけど(笑)。Kentaと一緒に来たいね。

●今日のライブの意気込みを、来日を待ち望んでいた日本のファンへ向けて聞かせてください。
J…来日を待ってくださったファンのみなさん、ありがとうございます。あなた方が待ち望んでくださっていたのと同じように、私たちもあなた方とショウを共にすることを待ちわびていました。本当に興奮しています、このような…
K…めっちゃくちゃな、スウェーデンのヘヴィ・メタルを日本に持ち込む事ができて…
J&K…嬉しいです(笑)。
K…今夜はブっ飛ばすよ、マジで。日本のオーディエンスは最高だって知ってるぞ?
J…可能であれば、また日本に戻ってきたいですね。今夜行われるショウよりも、さらに素晴らしい内容で!…「続けー!」(日本語で)
K…「続けー!」(日本語で)

●続けー!ありがとうございました!

インタビューアー:Michal(ANCIENT MYTH)
写真:Emili Muraki